私は独自のタスク管理術を構築しており、社内でもタスク管理オタクみたいに思われています。
ある日、同僚から、「なんでそんなにタスク管理がんばってるの?」と聞かれ、答えに詰まってしまいました。自分はタスク管理が習慣になり過ぎていて、タスク管理を始めた理由を忘れてしまっていたのです。
この記事では、タスク管理の必要性をあらためてまとめてみました。メリットだけでなく、
- 私のタスク管理の失敗談
- 500冊の本から学んだこと
- タスク管理のデメリット
についてもまとめています。
書き出してみると、タスク管理で得られるメリットが意外なほど大きいことに気づきました。タスク管理に迷いが出てきたときに読んでほしいです。
とさか
- 大手メーカー勤務の30代会社員
- 独自のタスク管理術により、残業が当たり前の職場で17時退社を4年以上継続
- 飛び級で昇進試験をパスし、同期最速で係長に昇進
- 社内の技術文書コンテストで優勝
タスク管理とは
まず、”タスク管理”とは何なのでしょうか?
タスク管理とは、やるべきことのコントロール
「タスク」の意味について調べると、”やるべき仕事・課題”と出てきます。仕事だけでなくプライベートにもタスクはあるため、タスク=やるべきこと、というのが妥当でしょう。
つまり、タスク管理とは、「やるべきことのコントロール」と言えますね。
タスク管理≠ToDoリスト
おそらく、タスク管理と聞いてまず想像するのは、
- やることを紙に書き出して
- リスト化し
- 順番に処理する
という、いわゆるToDoリストでしょう。間違いではないですが、私はもっとタスク管理を広い範囲で捉えています。
タスク管理とは、次のようなステップを経ると考えます。
- 目標設定(何をやるか、やらないか)
- 計画
- 実行
- レビュー
目標設定や計画も含むのは、本来そこからタスクが生まれるためです。ToDoリストは、実行フェイズで使うツールですね。ToDoリストはタスク管理の一部であると言えそうです。
ToDoリストだけだとタスク管理が難しい
タスク管理の王道「GTD」
タスク管理の説明において、GTDに触れないわけにはいきません。
GTD(Getting Things Done)は、世界のスタンダード
GTDは”Getting Things Done”の略であり、日本語にすると”物事を完了する”ための手法です。2001年にデビッド・アレン氏によって提唱されました。
タスク管理の世界的スタンダードとも言える手法です。メジャーなタスク管理アプリは、ほぼすべてGTDの影響を受けていると言っても過言ではありません。
GTDは次の5つの手順からなります。
- 収集
- 処理
- 整理
- レビュー
- 行動
簡単に言うと、やることをすべて書き出して、いつやるか決めて、実行します。
ここでは手順を詳しく説明しませんので、気になる方は「ストレスフリーの仕事術―仕事と人生をコントロールする52の法則」を読んでみてください。
GTDを実際にやってみると、頭の中がすっきりして、心が晴れ晴れとします
GTDに足りないもの
ただし、GTDにも弱点があります。頭の中にある「やること」が起点であるという点です。
GTDでは、まず頭の中にあるToDoを全て吐き出して、グループ分けします。このとき、「頭の中にはないけれど本来はやるべき」タスクが抜け落ちる可能性があります。
なので、目標から逆算する思考をGTDに付け加えると良いですね。このタスク管理手法については、記事の後半に書きます。
なぜタスク管理が必要なのか|メリット6選
では、なぜタスク管理が必要なのでしょうか?私が実感するタスク管理のメリットは次の6つです。
- ストレスが減る
- 全力で集中できる
- 上司から信頼される
- 仕事を減らせる
- モチベが上がる
- 自分の時間が増える
順に説明します。
ストレスが減る
タスク管理の基本は、「頭の中の”やること”を書き出して、視覚化すること」です。
やることを頭でずっと記憶しておくって、結構しんどいです。なので、外に書き出して、脳の負荷を減らします。書き出すだけで、ストレスが減るのが分かります。
脳のスペースが空くと、すごくスッキリ!
全力で集中できる
皆さんは、今この瞬間にやることが明確ですか?
仕事は無限です。優先順位をつけないと、あれもこれもしなきゃとパニックになります。メールに返信しないと、と考えながらパワポ資料を作るのは、作業効率を落とします。
タスク管理によって、今は資料作成、後でメール返信、とはっきり決めることで、集中して取り組めます。
結果的に、すべての仕事が最速で終わります。
上司から信頼される
タスク管理すると、ミスしなくなります。やることが全てリスト化されているので、仕事の抜け漏れがなくなるためです。
また、必ず目標を達成できるようになります。〆切にも遅れなくなります。
こうなると、上司からの信頼がどんどん上がります。信頼が上がれば評価が上がり、昇級・昇進といった話に繋がります。つまり給料が増えます。
私が飛び級で昇進できたのもタスク管理のおかげ
仕事を減らせる
タスク管理で仕事を整理すると、実はやらなくていい仕事が見えてきます。
2時間かかると思っていた仕事が、代わりに〇〇すれば5分で済むじゃん、みたいなことがよくあります。
これは、タスク管理で高い視点から仕事を眺める効果だと思います。何も考えずにひらすら仕事をこなしていると、こういった発想は生まれにくいです。
モチベが上がる
仕事はプロジェクト完了までに数か月、数年かかることがザラだと思います。プロジェクト完了まで何年も達成感が得られないと、モチベーションが続きません。
私はタスクを小さく分解して、15分ごとに小さな達成感を得ています。そして1日の終わりには大きな達成感を得ています。
脳が達成感を欲しがるため自然とモチベが上がり、仕事がサクサク進みます。
ゲームに熱中するのと似てる
自分の時間が増える
タスク管理をすれば、仕事をコントロールできます。今日何をどこまでやればいいかわかるため、仕事の終わりが明確です。
なので、毎日定時退社して、自分の時間を増やすことが可能です。
実際に私も、毎日やるべき仕事を100%完了させ、すっきりした気分で17時に退社しています。小さな子どもがいるため、早く帰宅して家族みんなで過ごすと決めています。
仕事に支配されるのではなく、自分が仕事を支配しましょう。
メリットまとめ
いろいろメリットを挙げましたが、タスク管理をやる理由をまとめると、
”より少なく、しかしより良く”
に辿り着きました。これは、”エッセンシャル思考”という本で繰り返し強調される考え方です。
私たちは可能な限りたくさんのことに手を出そうとしますが、それよりも、本当に重要なものにだけ集中した方がいい。
実際、エッセンシャル思考を意識してからは、「忙しいのに前進しない」日々が、「余裕だけど成果が出る」に一変しました。
メリットの最後に、本書で私が深く考えさせられた一節を紹介しておきます。
私がタスク管理の失敗から学んだこと
ここでは、タスク管理にまつわる私の実体験を紹介します。
私と同じ失敗をしないように!
次の3つに分けて紹介します。
- タスク管理を始めた理由
- タスク管理の数々の失敗
- 現在のやり方
私がタスク管理を始めた理由
私がタスク管理を始めたのは、次のような理由です。
- ミスばかりで火消しに疲れた
- 目標を達成できない
- 毎日残業が当たり前だった
ミスばかりで火消しに疲れた
私は新人の頃、よくミスをしていました。大事なことをやり忘れていて、上司に「あれどうなった?」と聞かれ、やべっ!となるシーンが多かったです。
そのたびに超特急で動き、関係者に頭を下げて回りました。これが嫌で嫌でたまりませんでした。
なので、もうミスしたくない、というのがタスク管理の最初のモチベーションです。
焦りながら仕事するって超ストレス
目標を達成できない
会社では年度始めに目標を設定しますが、年度末になると目標そのものを忘れていることが多かったです。
当然、目標は達成できず評価は上がりません。
日々やっている仕事が目標に繋がっていないのがむなしくなり、タスク管理で意味のある仕事をしよう、と決意しました。
毎日残業が当たり前だった
私が入社1年目の後半くらいからは、夜8時まで残業するのが当たり前でした。夜10時まで残業することさえありました。
家に帰ってからは、晩ご飯を食べて寝るだけです。独身ならまだよかったですが、結婚し、特に子供が生まれてからは大問題です。
何とかして家族と過ごす時間を増やすため、毎日定時退社する決心を固めました。
タスク管理が下手な自分の数々の失敗
タスク管理を始めたものの、なかなか上手くいきませんでした。
私は新人の頃から、
- 手帳
- デジタル付箋
- Excel
- タスク管理アプリ(Microsoft To Do)
と、いろいろタスク管理手法を試しましたが挫折つづき…
ここではダメだった原因を簡単に紹介します。
手帳でタスク管理|手書きが面倒。スペースが足りない!
会社に入ってしばらくは、手帳をメインに使っていました。よくあるマンスリーカレンダーに予定を書き込みます。
しかし、カレンダーにはスペースの都合上、細かいタスクまでは書けません。なので、手帳の後ろについているノートに、やること(タスク)をメモしていました。
でも、
- やることが複数ページに分散していて、何からしていいか分からない
- タスクを並べ替えたり、書き直したりするのが面倒
という問題も。タスクが少ないうちはいいですが、増えてくると手書きが面倒になってきました。
面倒なものは続かない
デジタル付箋|狭い!どれから着手すればいいか分からない!
やっぱりデジタルの方がコピペできて良いよな、ってことで、Windowsの「付箋」機能を使い始めました。
本物の付箋のようにデスクトップに貼れるメモです。
これをToDoリストにしてる人、結構見ますね
やることを箇条書きで書き出しておきます。複数の付箋に分けられるので、プロジェクトごとに色を変えたりもしました。
しかしこれも、
- タスクが増えてくるとスペースが足りない
- どれを優先的にやればいいか分からない
- ずっと目に付くので、あれこれ気になって集中できない
という問題が発生。付箋も微妙でした。
Excelでタスク管理|更新が面倒…
じゃあ次は、デジタルでシステマティックにタスク管理しよう!ということで、Excelを使ってタスク管理を始めました。
Excelで、
- 目標
- やること
- 開始日
- 期限
などを表にして、進捗管理していきます。これなら今やるべきことが分かるし、見通しも立てられます。
しかし、しばらくして、だんだん使わなくなりました。理由は、
更新がめんどくさい
から。
行を挿入したら書式が変わって、書式を整えて、、など、タスクの実行よりも表を整えるのに時間を奪われて、むなしくなってきました。
やっぱり、面倒なことは続きませんね
Microsoft To Do|使いやすいんだけど、成果に繋がらない
今度は、Microsoftのタスク管理アプリ「Microsoft To Do」を見つけました。
タスク管理専用のアプリなら、使いやすいに違いない!ということで使ってみました。さすが、Excelと違ってクリック1発でタスクを追加できて、見た目も良い感じです。
ただ、この頃から、
- 日々のタスクと目標が繋がっていない
- もっと大きな流れ(四半期、月、週ごと)で計画を立てたい
と悩むようになってきました。
Microsoft To Doは、備忘録として買い物リスト的な使い方ならいいですが、目標達成のツールとしてはいまいちだな、と。
ちなみに、ここに至るまで3年ほどかかっています
現在のやり方|OneNoteでタスク管理
そして遂にたどり着いたのが、Microsoftの「OneNote(ワンノート)」です。OneNoteはデジタルノートアプリですが、チェックボックスを使ってタスク管理ができます。
こんなイメージ↓
目標を分割してタスクへと繋げていきます。今やるべきタスクが目標達成につながっていることを実感できるため、モチベも上がります。
OneNote以外のタスク管理方法は数か月で挫折しましたが、OneNoteだけが、数年間継続できています。そして、このタスク管理によって、仕事量を減らしつつ成果を上げることができています。
詳しい使い方は、こちらの記事をご覧ください↓
さらに、「仕事を100%完了させて定時に帰りたい」とも思うようになったため、ExcelのTodoリストも導入しました。
- OneNote:1年~1週間のタスク管理
- Excel:1日のTodoリスト
というように使い分けています。
Excelについても、詳しい使い方はこちらをどうぞ↓
また、タスク管理について悩む過程で、本当に多くの本を読みました。仕事術に関する本は、これまで500冊以上読んでいます。タスク管理のおすすめ本を10冊厳選して紹介した記事もありますので、ぜひ読んでみてください。
タスク管理のデメリット3選
最後に、タスク管理のデメリットも知っておきましょう。ネガティブな側面も知ることで、よりバランスの取れたタスク管理ができるようになります。
- 時間や手間がかかる
- 続かないことが嫌になる
- 創造性が落ちる場合がある
時間や手間がかかる
前記事(「タスク管理がめんどくさい」の原因3つと対処法)でも説明しましたが、タスク管理には手間がかかります。
タスク管理そのもので仕事が前進するわけではないので、タスク管理をしている時間がもったいない、と思ってしまうのは仕方ないですね。
しかし前述したように、タスク管理でむしろやることが減るため、タイパは非常に良いです。
続かないことが嫌になる
タスク管理そのもののデメリットではないですが、完璧にタスク管理しようとして、挫折する場合もあります。
タスク管理にはタスクの延期など、修正や更新が付き物です。あまりに完璧を目指すと、こうした修正がつらくなって挫折します。
ほどほどのタスク管理を目指しましょう。
創造性が少なくなる場合がある
タスク管理の最も危険な側面です。
タスクをギッチギチに詰めると、
- 雑談する
- ボーっとする
- ToDoリストにはないけどやりたい!と思ったことをやってみる
というような、「脱線」ができなくなります。
脱線は、偶発的な成功(セレンディピティ)を生むケースもあります。(もちろん無駄に終わることもありますが)
タスク管理では、いかに余白を作るかもポイントになります。
まとめ
タスク管理は奥が深く、私もまだまだ発展途上です。
これからタスク管理を極めていく人は、まずは本でタスク管理手法を学ぶことをおすすめします。先人の知恵を借りることで、失敗を避けられます。
本当に役に立ったおすすめ本をこちらの記事にまとめたので、ぜひ参考にしてみてください。