MicrosoftのCopilotには、毎週のように新しい機能が実装されている。まさに日進月歩だ。あとから気付くと、「実はこんな機能あったのか!」と、ちょっと悔しい気持ちになる。
そこで本記事では、Copilotの新機能や最新ニュースを、業務で使うエンドユーザー目線でまとめた。
Microsoft公式サイトにもリリースノートはあるものの、英語版だけのリリースだったり、実際にはまだ使えなかったりする。
そのため本記事では、できるだけ自分で検証してみて、結果や感想も紹介する。(Microsoft 365 CopilotとCopilot Proの両方で試している)
最新情報は毎月更新していく予定だ。新機能が気になる方はブックマークしておくと良いかもしれない
Xでも、Copilotの新しい機能を見つけたらポストします→ https://x.com/tosaka_kopa99(とさか)
【2025年2月】Copilotの最新情報・新機能
2025年1月〜2月の新機能やニュースを紹介する。
- Copilot Chatの「Think Deeper」が無料開放
- Copilot Chatに出典リンクが復活
- OutlookのCopilotチャットで会議設定
- WordのCopilotの新規文書にプロンプト例が表示
- OneNoteにCopilotのクイックアクションが登場
- Microsoft 365のロゴがCopilotに
- 個人向けMicrosoft 365がCopilot同梱で値上げ
- 法人向けCopilotチャットの正式名称が「Microsoft 365 Copilot Chat」に確定
- Copilotエージェントにコードインタープリターが追加
- WordとPowerPointのモバイルアプリでプロンプトギャラリーにアクセス
- FormsでCopilotスマートリマインダーが使用可能に
- AI Skills Navigatorが登場
順に紹介する。
Copilot Chatの「Think Deeper」が無料開放

個人向けのCopilot Chatで、無料版でも「Think Deeper」を使えるようになった。Think Deeperをオンにすると、より深く、網羅的な回答が可能になる。
具体的には、推論や数学的問題に強いChatGPT o1モデルを使えるということだ。

o1モデルが無料で使えるのはすごい
これまでは、有料版のCopilot Pro限定だった。現在も、無料ユーザーは週に3回程度までと制限はあるようだ。
次の例は、Think Deeper無しとありで「MicrosoftのCopilotが将来どうなるか考えて」と聞いたものだ。




Think Deeperの方が、より深い洞察となっている。ただし、通常の回答よりも生成に時間がかかるのがデメリットではある。この回答は10秒ほどで生成された。
コーディングや複雑な問題などを解くために特に有効となる。
Think Deeperは、
- Web版Copilot Chat
- Copilot in Windows
- モバイルアプリのCopilot
で使える。
Copilot Chatに出典リンクが復活
Copilotとのチャットで出典リンク(参照元のWebサイト)が表示されるようになった。


Copilotの登場当初はリンクがあったのだが、アップデートで消えていた。しかし再度リンクを付けてくれるようになった。



情報元が分かるから嬉しい
すべてのチャットにリンクが付くわけではなく、調べものには付けてくれる仕様のようだ。
OutlookのCopilotチャットで会議設定
ついに、OutlookのCopilotチャットで会議を設定できるようになった。



待ってた


Outlook画面右側のCopilotウィンドウ(チャット)で、予定を入れるように指示するだけでいい。例えば、
明日、1時間の集中時間を見つけて
と指示することで、Copilotが適当な空き時間を提案してくれる。そのままスケジュールインすることもできるし、編集して時間を変えることも可能だ。
また、同僚との打合せも設定できる。”/”を入力して打合せしたい相手を特定し、時間を見つけるように指示する。例えば、
/〇〇さん と1時間の打合せをしたい
と指示すると、時間を見つけてくれる。
会議の設定は面倒な作業だったので、Copilotとのチャットで会議設定できると非常に助かる。秘書がいるような感じだ。
ただし現時点では、2~3人程度の少人数の打合せに限られるようだ。大規模な会議は自身で設定するよう促される模様。
また話は変わるが、Outlookのモバイルアプリでは、Microsoft 365 Copilot Chatで「職場」モードと「Web」モードを切り替えられるようになった。EdgeのCopilotと同じような感覚で使えるだろう。
WordのCopilotの新規文書にプロンプト例が表示
Wordの新規文書を立ち上げたとき、ページの上部にプロンプトの例が表示されるようになった。


自分のシチュエーションにぴったりハマるものは無いかもしれないが、どんな風に指示すればよいかの参考になる。
現時点ではWeb版のみで確認できた。そのうちデスクトップアプリにも対応するだろう。
OneNoteにCopilotのクイックアクションが登場
OneNoteのCopilotに、クイックアクションが登場した。
具体的には、テキストを選択した状態で右クリックすると、Copilotメニューから、書き換えなどを選択できる。


できることは、
- 要約
- タスクリスト(チェックボックス付きのTodoリスト)の作成
- 書き換え
の3つだ。
ただし、書き換えは自分で「〇〇して」と指示することができない。なので文体を変えたいときなどは、いったんCopilotチャットにコピペして修正させる必要がある。WordのCopilotのように、直接指示できたらいいのだが。



まだ発展途上だね
Microsoft 365のロゴがCopilotに
2025年1月15日を境に、Microsoft 365のロゴが変更された。
私のiPhoneアプリのアイコンもアップデートされていた。


名称も、「Microsoft 365(Office)」から「Microsoft 365 Copilot」アプリへと変わるようだ。


Microsoftが本気でCopilotを普及させようとしていることが分かる。もはやCopilotはオプションではなく、WordやExcelなどOfficeアプリの一部、という形にしたいのだろう。
だがこれに伴い、個人向けMicrosoft 365の値上げが実施されることになる。
個人向けMicrosoft 365がCopilot同梱で値上げ
2025年1月16日から、Microsoft 365が大幅に値上げされた。
- Microsoft 365 Personal:14,900 → 21,300円(年額)
- Microsoft 365 Family:21,000 → 27,400円(年額)
約40%の値上げだ。



これはキツイ
ただ、単なる値上げではなく、WordやExcelでCopilotが使えるようになる。
といっても回数制限があり、Copilotを使えるのは月に60回までだ。1日あたり2回の計算なので、Microsoft 365をバリバリ使っている人には物足りないだろう。
月60回で足りない場合は、回数無制限で月額3,200円のCopilot Proが必要になる。従来からのCopilot Proユーザーにとっては、ほとんどメリットの無い値上げになると感じた。
法人向けCopilotチャットの正式名称が「Microsoft 365 Copilot Chat」に確定
Copilotはコロコロ名称が変わって、しかもあらゆる関連サービスが存在するので非常にややこしい。
そんな中で一つ朗報なのが、法人向けのCopilotのチャットの正式名称が「Microsoft 365 Copilot Chat」に確定したことだ。


これは、法人向け「Microsoft 365 Copilot」のチャット、というストレートなネーミングなので、結構分かりやすい。ちょっと長いのがネックだが、分かりやすさ重視ということだろう。
Edge、Teams、Outlookで利用可能だ。
Copilotエージェントにコードインタープリターが追加
ユーザーがオリジナルのCopilotを作れる機能、”エージェント”にコードインタープリターを追加できるようになった。
コードインタープリターとは、Pythonコードを用いて複雑な数学の問題を解いたり、データを分析や視覚化をしたりできるようになる機能だ。
例えば、「フィボナッチ数列の最初の20個をグラフ化して」と指示することで、pythonコードによってグラフの描画までできる。


エージェントのコードインタープリターを使うには、Copilot Studioのエージェント作成画面で、「コードインタープリター」をONにするといい。


これにより、オリジナルのCopilotエージェントの活用用途が広がるだろう。
WordとPowerPointのモバイルアプリでプロンプトギャラリーにアクセス
WordとPowerPointモバイルアプリで、Copilotプロンプトギャラリーにアクセスできるとのこと。
プロンプトギャラリーとは、プロンプトのテンプレート集だ。お気に入りのプロンプトを保存することもできる。
ただし、私の場合はまだ表示されなかった(環境はCopilot Pro)。そのうち対応するだろう。
FormsでCopilotスマートリマインダーが使用可能に
アンケートアプリであるFormsで、「スマートリマインダー」のオプションが搭載されたようだ。
参考:フォームでの Copilot のスマート リマインダー


アンケートの回答状況を見ながら、リマインダーを提案・送信してくれる。
私はまだ試す機会が無いが、アンケートは思ったように回答してくれないことも多いので、適切なリマインダーを提案してくれるのは非常に助かるだろう。
AI Skills Navigatorが登場
Copilotと直接は関係ないのだが、Microsoftが「AI Skills Navigator」を発表した。


これはAIについて学べるサイトで、かつ自分が何を学べばいいかAIがサポートしてくれる。
コンテンツは、Microsoft LearnとLinkedIn Leaningが統合されており、Copilotや生成AIについて無料で学べるコンテンツが無数にある。
基礎から応用まで幅広く揃っているので、一度見てみよう。
以上、新機能や最新情報をまとめたが、Copilotの基本の使い方を知りたい方は、こちらの記事もおすすめ↓


【そのうち】次に来そうな新機能
まだ日本語には対応していないが、そのうち使えそうな機能をいくつか紹介しておく。
Wordでコーチング
WordのCopilotで、文章のコーチングを受けることができる。英語圏では使えるようだが、日本語には未対応。
文章の一部を選択してCopilot→[コーチングを受ける]から起動できる模様。




コーチングは、選択した箇所に対してきめ細かいコーチングをしてくれるようだ。Outlookのメールのコーチングと似ているかもしれない。
Word文書を誰かにアウトプットするときは、自分の文章が伝わりにくくないか、いつも不安だ。コーチング機能があれば客観的な視点でのアドバイスをくれるため、心強そうだ。
日本語対応については、2025年度の早い段階で実装されるのではないだろうか。
Wordの自動要約
Word文書を立ち上げると、Copilotが自動で要約を表示してくれる機能。段階的にロールアウトされるらしいが、筆者の環境ではまだ使えなかった。


私はCopilotウィンドウで要約を指示することが多いので、自動的に要約してくれるのは助かりそうだ。
PowerPointの言語変換
PowerPointのCopilotで、言語変換してくれる機能が実装予定とのこと。
今でも、Copilotチャットを使って英語のスライドの内容を日本語に翻訳してもらうことはできる。
しかしこの機能は、スライドの言語そのものを書き換えるようだ。つまり、日本語で作ったスライドが、瞬時に英語のスライドへと変化する。
日本語、英語の双方でプレゼンする機会がある人には、ものすごい時短になるだろう。
OneNoteのCopilotがiPadで
英語圏では、iPadでもOneNoteのCopilotを使用できるようになったようだ。
私のiPadではまだCopilotを使えなかったが、日本語も順次対応していくだろう。
いつから使える?が気になる人はロードマップをチェック
Copilotの今後の開発予定や、ロールアウト中の機能は、Microsoft 365 roadmapに載っている。気になる人はチェックしてみよう。
ただし英語なので、Copilotで日本語訳しながら見るのがいいかもしれない。
↓以降はアーカイブ↓
2024年12月頃の新機能・ニュース
PowerPoint/Wordのチャットに画像を添付
WordとPowerPointのCopilotが対象。Copilotチャットに画像を添付できるようになった。


添付した画像についてCopilotに聞くことができる。活用例としては、添付した画像の中のテキストを読み取ってスライドにコピペする、なんてことが可能だ。
EdgeのCopilotでも同様のことができるが、WordやPowerPointの中で完結できるので画面を切り替えなくてよくなった。
おわりに
Copilotはまだまだ発展途上だ。不満な点も結構ある。
しかし、Copilotを何としても普及させようとするMicrosoftの本気が感じられるので、数年後にはなくてはならないツールになるだろう。
どんどん追加される新機能を楽しみながら使いこなしていきたい。
Copilotの基本の使い方から理解しておきたい方は、こちらの記事がおすすめだ↓

