ExcelでもCopilot(コパイロット)が使えるようになった。生成AIがデータ分析してくれる時代の到来だ。
だがCopilotも万能ではない。驚きもあれば失望もある。
本記事では、ExcelのCopilotの基本の使い方を丁寧に解説する。使い方を一通り知っておくことで応用範囲が広がるはずだ。
この記事を書くにあたって、プロンプトをかなり試行錯誤した。失敗談も載せるので、同じ失敗は避けてほしい。
ExcelのCopilot(コパイロット)の開き方
まず前提として、ExcelのCopilotを起動するには、ファイルをOneDriveかSharePointに入れる必要がある。ファイルをアップロードしてから開こう。
【ホーム】→【Copilot】を押すと、「Copilotウィンドウ」が立ち上がる。
なお、Copilotウィンドウを開くショートカットは無いので、私はリボンに登録している。
これで、Alt + [数字]で開くことができる。(数字は、左から数えたときの順番だ)
この場合、左から2番目のアイコンなので、Alt + 5 で開くことができる。
リボンへの登録は、【ホーム】の【Copilot】で右クリックして、「クイックアクセスツールバーに追加」を押せばいい。
ショートカットを使って一瞬でCopilotを開けるようにしておきたい。
もし有料版Copilotを契約しているのにExcelに【Copilot】ボタンがないときは、WordのCopilotの記事に書いた対応策を参考にしてほしい。
下準備|テーブルの作成
Copilotに分析させるデータは、「テーブル」形式にするのがおすすめ。必須ではないが、Copilotがデータ範囲を認識しやすくなる。
やり方は簡単。データの範囲を選択して、Ctrl + T を押す。
「テーブルの作成」ウィンドウが開く。たいていは一番上の行が見出しになっていると思うので、「先頭行をテーブルの見出しとして使用する」にチェックしてOKを押す。
これでテーブルに変換された。
最初だけひと手間いるね
ExcelのCopilotの使い方(7つの活用事例)
Copilotに指示すると、テーブルのデータを分析したり、変更を加えたりしてくれる。指示する前には、正しいデータ範囲が認識されているかチェックしよう。
基本の活用方法として、次の7つの事例を紹介する。
- データを分析する
- グラフを作成する
- 数式を作成する
- 集計行を追加する
- データの抽出・並べ替え
- 条件付き書式を設定する
- マクロを作成する
データを分析する
Copilotには標準的なプロンプト(指示)が用意されている。まずは、[データの分析情報を表示する]を使ってみよう。
分析結果が返ってきた。といっても、日付別の売上のグラフを作成されただけだが…。
便利なのはここから。続けて[すべての分析情報をグリッドに追加する]を押すと、
新しいシートにグラフがズラッと作成された。
データを一気に可視化できた。意味のないグラフもあるが、取捨選択して使うのはありだ。
自分で作るより何倍も速い
今回は標準のプロンプトを使ったが、オリジナルの指示を出してもいい。例えば、
- 「相関関係の強いデータはある?」
- 「データに傾向はある?」
など、知りたいことを自由に聞いてみよう。
グラフを作成する
自分で好きなグラフを作成することも可能だ。例えば、「日付とPVのグラフを作成して。」と入力すると、さっとグラフを作ってくれた。
[+新しいシートに追加]を押せば、シートに挿入される。
ちなみに指示を出すときは、テーブルの見出しと完全に一致してなくてもOK。下の画像の例では、”PV”とだけ指示しているが、ちゃんとどの列のことかCopilotが判断してくれる。
一言一句同じに入力しなくていいのは、かなりありがたい。
ほんと、人間に指示してるみたい
数式を作成する
Copilotなら数式をさっと作成してくれる。例えば、「売上利益率の前日比を出して。」と指示すると、複雑な数式をすぐに作ってくれた。
利益率や前日比など、言葉の定義を説明しなくても意図を汲み取ってくれるので、やはり生成AIはすごいと感じる。
ただし、「3日間の移動平均を計算して」と指示したときは、どうも計算結果が自分の意図と異なっていた。Copilotを盲目的に信じるのではなく、必ず検算はしよう。上司や顧客に報告したときに痛い目を見る可能性がある。
集計行を追加する
Copilotに「集計行を追加して」と指示すると、テーブルへの追加を提案してくれる。
[適用」を押すと、テーブルに集計行が追加される。
集計行では、列の平均値や最大値をプルダウンで選択して表示できる。さっと確認するのに便利だ。
データの抽出・並べ替え
データ抽出もお願いできる。「利益が10000以上を抽出して」と指示すると、フィルターを提案してくれるので、[適用]を押せばテーブルがフィルタリングされる。
[元に戻す]を押せば、変更を解除することもできる。(Ctrl + Zと同じ)
他にも、「優先度1:PVが多い順、優先度2:CTRが多い順、で並べ替えて」といった並べ替えも依頼できる。
指示通りにテーブルの順番が変わった。
条件付き書式を設定する
特定の数値を目立たせたいときもある。そんなときは、「利益が60000以上を太字にして」と指示する。
データの特徴を掴みやすくなった。
これ自分で設定すると結構めんどくさいので、助かる
他にも赤字やフォントサイズの変更も可能だ。書式の変更は、WordやパワポのCopilotでは出来ないので、かなり嬉しい機能だ。
マクロを作成する
Copilotはマクロの作成も得意だ。やりたいことを、「VBAコードを書いて。~~」と指示してみよう。指示は自然文で構わない。
すぐにコードを生成してくれた。ちょっと見づらいので、Copilotウィンドウの端っこをドラッグして広げてみよう。
短い指示から、意図をくみ取ってコードを書いてくれている。あとはこれをVBAエディタに貼り付けて、シート名などを修正すればOKだ。(詳しい手順は割愛するが、分からなければCopilotに聞いてみよう)
私は生成AIのおかげでマクロを扱えるようになった。これまで何度も挫折してきたが、Copilotに聞けばコードがあっという間に完成する。コードが読めさえすればいい。
自分で書くより100倍くらい速い
ExcelのCopilotを使った感想
しばらく使ったが、「まだできることが限られるな」という印象だ。
特に苦戦したのがグラフの作成だ。凡例付きなどの複雑なグラフの作成を指示すると、「申し訳ありませんができません」という回答が頻発した。
現時点では、数式の作成が便利だと感じた(地味だけど)。ちょっと複雑な計算式を入れたいときは、意外と悩む。ググったけど結局よく分からん、みたいことがこれまでよくあった。しかしCopilotに聞けば、こういった調べる時間が一切不要だ。
将来的には、Copilotは標準搭載で誰もが使えるようになるだろう。生成AIの扱いもスキルの一つなので、今のうちに慣れてスキルを磨いておきたい。
これからの新入社員は生成AIを当たり前のように使うんだろうな
まとめ
せっかくなので、本記事のまとめをWordのCopilotで生成してみた↓
割とうまくまとめてくれた。WordのCopilotについてはこちらの記事で紹介している。
あとCopilotを使い始めたばかりの人は、書籍で一度体系的に学ぶことをおすすめする。こちらの記事にCopilotのおすすめ本をまとめたので、ぜひチェックしてみてほしい。
基礎を学んでおけば、その後の成長スピードが段違い