論文の最後まで来たのに、「おわりに」で手が止まる。
結果はたくさんある。考察も書いた。でも、何を残せば結論になるのか分からない。
そんなときは、「はじめに」で立てた問いへ、短く答えることから始めましょう。
結論は、分かったことを全て並べる場所ではなく、「研究全体の答え」を読者へ渡す場所です。
この記事では、論文の結論・「おわりに」に書く内容を図解し、そのまま参考にできる例文を紹介します。

最後は、問いへの答えを一本に絞ります


とさか (登坂 圭吾)
- 国立大学の院卒。修士論文は100ページ超え
- 研究開発職として、社内の技術文書コンテストで優勝
論文の結論・「おわりに」とは?
論文の結論・「おわりに」は、研究で明らかになった答えを最後にまとめるパートです。
「はじめに」で示した問いを思い出してもらい、結果と考察を踏まえて、最終的に何が言えるのかを示します。
「はじめに」と「おわりに」はセット
はじめに|問いを渡す
動画教材は、大学生の学習継続にどう関わるか?
↓ 本論で調べ、考える
おわりに|答えを返す
短時間の復習に使うと、学習を継続しやすい。
見出しの名称は、大学や分野によって変わります。
- はじめに → おわりに
- 緒言 → 結言
- 序論 → 結論
呼び方が違っても、最初に問いを示し、最後に答える関係は同じです。
とにかく、はじめに書いた問題提起への答えを書く場所です。
上手い文章で評価を上げたいなら、本で学ぶのがおすすめです。文章術の本まとめはこちら。


論文の結論に書く4つの内容
結論は、次の4つを順番に置くと書きやすくなります。
- 目的・問い:何を明らかにする研究だったか
- 重要な結果:調査や実験から何が分かったか
- 問いへの答え:結果から最終的に何が言えるか
- 限界・今後の課題:残った課題は何か
結論は4段で組み立てる
1. 目的・問い
本研究では、〇〇を明らかにするため…
2. 重要な結果
その結果、△△であることが分かった。
3. 問いへの答え
以上から、□□であると考えられる。
4. 限界・今後の課題
今後は、対象を広げて検討する必要がある。
1. 目的・問いを短く振り返る
最初に、何を調べた論文なのかを1〜2文で確認します。
本研究では、大学生による動画教材の利用が、授業外学習の継続にどう関わるかを明らかにするため、利用場面と学習頻度を調査した。
「はじめに」の目的文をそのまま貼るより、実際に行った研究に合わせて書き直すと自然です。
2. テーマに関わる結果を選ぶ
次に、問いへ答えるために必要な結果だけを残します。
実験や調査を重ねるほど、結果は増えていきます。全部をもう一度説明すると、何が重要なのか見えにくくなります。
「この結果がなければ、最終的な答えは成り立たないか」を基準に選んでください。
3. 問いへの答えを言い切る
結果を並べたら、そこから何が言えるのかを一文にします。
この一文が、論文全体の結論です。



「結局、何が分かった?」に答えましょう
4. 限界・今後の課題を必要に応じて書く
対象者の少なさ、調査期間、測定方法など、今回の研究で残った課題を最後に添えます。
ただし、今後の課題を置く場所は、大学や分野によって扱いが異なります。
提出要領、研究室の過去論文、指導教員の指示を優先してください。
論文の結論・「おわりに」の例文
4つの内容をつなげると、次のようになります。
本研究では、大学生による動画教材の利用が、授業外学習の継続にどう関わるかを明らかにするため、利用場面と学習頻度を調査した。
その結果、動画教材を復習に利用する学生は、視聴する時間をあらかじめ決めている場合に、学習を継続しやすい傾向が見られた。一方、目的を決めずに視聴する場合は、利用頻度と学習継続との明確な関係は確認できなかった。
以上から、動画教材は利用するだけで学習を継続させるのではなく、短時間の復習として学習計画に組み込むことで、継続を支えると考えられる。
本調査は対象者が限られているため、今後は対象となる学年や授業を広げ、利用目的と学習継続との関係を検討する必要がある。
最初の文で目的を確認し、次に重要な結果、問いへの答え、今後の課題を続けています。
「はじめに」で使ったテーマとつながっているため、読者は研究の出発点と到着点を見比べられます。
この例文に対応する「はじめに」は、次の記事で構成ごとに図解しています。


「はじめに」と結論がつながっているか確認する
結論を書いたら、「はじめに」と並べて読みます。
| はじめに | 結論・おわりに |
|---|---|
| 背景を示す | 研究の意味を確認する |
| 問いを立てる | 問いへ答える |
| 目的を示す | 結果をまとめる |
| 本文を予告する | 到達点と課題を示す |
確認したいのは、次の3点。
- 最初に立てた問いへ答えているか
- 研究の目的と、最後に示す結論がずれていないか
- 本文で扱っていない話を、結論で急に出していないか
私は仕事のレポートでも、最初に概要を作ります。
概要の中で「背景と問い→結論」がセットになっているかを見ると、本文のずれに早く気づけるからです。
論文全体を「問い・答え・根拠」で組み立てる方法は、こちらの記事で詳しく紹介しています。


長い論文は各章の「小括」から結論を作る
卒論や修士論文のように長い文章では、各章の終わりに「小括」を置くと、最後の結論が書きやすくなります。
小括とは、その章で分かったことを短くまとめた部分です。
各章のまとめが、最後の結論になる
第1章の小括|先行研究から分かったこと
第2章の小括|実験から分かったこと
第3章の小括|考察から言えること
↓ つなぎ、重複を削る
論文全体の結論
各章を通して、問いにどう答えられるか
私も修士論文では、実験のたびに仮説を修正し、各章に小括を入れました。
最後の結論は、各章の小括をつなげるイメージです。
小括という見出しがなくても、各章の最後に書いたまとめを並べれば、結論の材料がそろいます。



各章の結論を持っておくと、最後の結論がラク
論文の「結論」と「考察」の違い
考察と結論は、書く範囲が違います。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 考察 | 結果の意味、理由、先行研究との関係を詳しく検討する |
| 結論 | 考察を踏まえ、問いへの最終的な答えを短くまとめる |
たとえば、アンケートで「短時間の動画を使う学生ほど学習を継続していた」という結果が出たとします。
考察
短時間なら学習の負担を感じにくく、日常の予定へ組み込みやすいため、継続につながったと考えられる。
結論
動画教材は、短時間の復習として使うことで、大学生の授業外学習を支える。
考察では「なぜそうなったか」を掘り下げ、結論では「最終的に何が言えるか」を示します。
論文の結論でよくある3つの失敗
- やったことを全部詰め込む
- 本文にない情報を追加する
- 感想や謝辞で締める
やったことを全部詰め込む
私も卒論では、やった実験を全部残したくて苦労しました。
時間をかけたデータほど削りにくい。でも、研究の苦労と、読者が知りたい答えは別です。
最後は、テーマに関わる結論へ絞り込みました。
本文にない情報を追加する
結論で新しいデータや論点を出すと、読者はその根拠を本文で確認できません。
新しく気づいたことは考察へ戻して説明し、そのうえで結論へ反映します。
感想や謝辞で締める
「この研究を通して多くを学んだ」といった感想では、問いへの答えがぼやけます。
研究への協力に感謝を伝える場合は、大学の形式に従って謝辞へ分けましょう。
結論が書けないときの3ステップ
結論がまとまらないときは、本文を最初から読み直さなくても大丈夫です。
- 各章の小括・まとめを抜き出す
- 「はじめに」で立てた問いの順に並べる
- 重複と細かい説明を削り、答えを一文にする
仮説が研究の途中で変わったなら、最初の目的文も確認してください。
実験のたびに仮説を修正することはあります。最後の仮説と結論に合わせて「はじめに」を整えれば、論文全体の筋が通ります。
論文の結論・「おわりに」でよくある質問
- 結論・「おわりに」の文字数はどれくらいですか?
-
指定がある場合は、その文字数に従ってください。
一つの目安として、広島修道大学の論証型レポートの資料では、結論を全体の10〜15%としています。論文の種類や分野で変わるため、過去論文も確認しましょう。
- 「結論」と「おわりに」は同じですか?
-
多くの場合、論文の最後に答えをまとめるパートを指します。
ただし、大学や研究分野によって見出しの名称や内容が異なります。「はじめに」には「おわりに」、「序論」には「結論」のように、対応する名称を使うと自然です。
- 結論に今後の課題は必要ですか?
-
大学や分野の指定に従ってください。
「おわりに」へ書く形式もあれば、考察へ書く形式もあります。入れる場合は、単なる意気込みではなく、今回の結果から残った課題を示しましょう。
まとめ:結論は「問いへの答え」に絞る
論文の結論・「おわりに」は、次の4つで組み立てます。
- 目的・問いを短く振り返る
- テーマに関わる結果を選ぶ
- 問いへの答えを一文で示す
- 必要に応じて限界・今後の課題を書く
やったことを全部残そうとすると、結論の中心が見えにくくなります。
「この論文は、最初の問いへどう答えたのか」
最後は、ここへ戻ってください。
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